Special Interview - Vol.2
主宰インタビュー②『主宰の語るガクブチ演劇』
Q.4
――これまでの二作品はどちらも独特の世界観が印象的でした。作品の方向性についてはどう考えていますか?
久湊: わりと僕はハッピーエンドの作品が好きなので、ハッピーエンドで終わらせようとするんだけど、そう単純には終わらないというか……まぁ正直自分でもハッピーだとは思ってない(笑)。 つまり、物語としては最終的にある種の幸福や破綻に行き着くけれども、本当にそれはいいことなんだろうか?あるいはよくないことなんだろうか?というメッセージを投げかけるようなスタンスをとっていました。芝居のいちばん最後だけ、あえて抽象性を活かすような表現をしていたつもりです。 とはいえ、今後もそういうスタンスを継続するかどうかは、今の段階ではちょっとわからないですね。この前江島くんと「このままでいいのか」なんて話をしたりもしたので。 |
江島:
そうそう。アンケートを分析すると、「作風が好きだから」という理由でリピーターになってくださっているお客さんも結構多くて。本当にありがたいことです。そういう意味で、「ガクブチの作風」っていうものが認知されていくのは、だいたい第三作目ぐらいまでなのかなと僕は考えています。そこまでの作品が(お客さんに)どういう印象を与えたかによって「ガクブチに求められるもの」も決まるというか。
そうそう。アンケートを分析すると、「作風が好きだから」という理由でリピーターになってくださっているお客さんも結構多くて。本当にありがたいことです。そういう意味で、「ガクブチの作風」っていうものが認知されていくのは、だいたい第三作目ぐらいまでなのかなと僕は考えています。そこまでの作品が(お客さんに)どういう印象を与えたかによって「ガクブチに求められるもの」も決まるというか。
「変える」ことには、プラスと、マイナスがある
三作とも同じ路線でやって、じゃあ四作目、ってなったとき、そこで全然新しいことをやると、ひょっとすると常連のお客さんにとって期待を裏切ることになってしまうかもしれない。「変える」こともタイミング次第ではプラスになったりマイナスになったりすると思うんですよ。
だからこそ、次の公演では、「ガクブチらしさ」を自覚しつつ、その新しい切り口みたいなものを提示できればなと。
だからこそ、次の公演では、「ガクブチらしさ」を自覚しつつ、その新しい切り口みたいなものを提示できればなと。
Q.6
――これまでのガクブチ作品を通して、なにか演出上のポイントはありましたか?
久湊:
『群像劇』という形式をとっていたことはポイントだと思います。たとえば僕たちがお邪魔したような屋内の劇場で演劇をやる場合、ふつうお客さんの前にステージがある。いわばお客さんが演者を観賞物として見るという構造があったわけですよね。そこにもうひとつ客体構造をプラスするというか、「ひとを見つめているひとを見つめる」という体験を客席上に生み出したかった。なぜなら、そういう視線の連鎖の一端にお客さんが立つことで、登場人物への自己投影や感情移入が特別な意味合いをもつと思ったからです。
久湊:
『群像劇』という形式をとっていたことはポイントだと思います。たとえば僕たちがお邪魔したような屋内の劇場で演劇をやる場合、ふつうお客さんの前にステージがある。いわばお客さんが演者を観賞物として見るという構造があったわけですよね。そこにもうひとつ客体構造をプラスするというか、「ひとを見つめているひとを見つめる」という体験を客席上に生み出したかった。なぜなら、そういう視線の連鎖の一端にお客さんが立つことで、登場人物への自己投影や感情移入が特別な意味合いをもつと思ったからです。
とくに僕の脚本だとけっこうアニメチックに人物像が設定されていて、占星術やキリスト教神学なんかから性格の類型を借りて作ったりしています。だからきっと、誰かひとりは自分になんらかの意味で「近い」キャラクターが出てくると思う。
どのキャラクターを通しても、最後には共通のものが見えてくる
だから、まず登場人物の誰でもいいんで、ちょっとでも共感できると思ったキャラクターに感情移入してもらえればいいかなと。それで「あ、このキャラ好きだな」とか「このキャラの目線が自分にあってるな」みたいな関心を、たとえどの人物に対して持っていても、お話の最後にはなにか共通のものが見えてくる……と。
そういう仕組みが可能になっているのは群像劇ならではといえますし、そういう構造が、僕自身がふだんの日常で感じていることとか、疑問なんかを舞台表現として伝えるうえでよかった。
そういう仕組みが可能になっているのは群像劇ならではといえますし、そういう構造が、僕自身がふだんの日常で感じていることとか、疑問なんかを舞台表現として伝えるうえでよかった。
江島:
たとえば「正義」という言葉なんかにしてみたってそうで、あることを「する」のが正義だと主張する人もいれば、それを「しない」ことが正義であると主張する人もいる。単純に具体的なメッセージ(主張)を表現するというのは、舞台から客席への一方通行になりかねません。だから投げかけとしていろんな切り口を用意しているという意味で、丁寧なつくりになっているとは思いま……丁寧なのかなぁ?
久湊:
どうなんだろう?雑かもしれない(笑)
たとえば「正義」という言葉なんかにしてみたってそうで、あることを「する」のが正義だと主張する人もいれば、それを「しない」ことが正義であると主張する人もいる。単純に具体的なメッセージ(主張)を表現するというのは、舞台から客席への一方通行になりかねません。だから投げかけとしていろんな切り口を用意しているという意味で、丁寧なつくりになっているとは思いま……丁寧なのかなぁ?
久湊:
どうなんだろう?雑かもしれない(笑)
Q.7
――ちなみに、配役については当て書き※ですか?オーディション形式ですか?
(※俳優を決めてからその人に合わせて脚本を書くこと)
久湊:あぁ、えーと……
江島:当て書きですね。
久湊:当て書きっちゃ当て書きというか……僕は正直当て書きがあまり好きではないので、あまりそうしたくはないんだが……
江島:必然的にそうなっちゃうよね。
(※俳優を決めてからその人に合わせて脚本を書くこと)
久湊:あぁ、えーと……
江島:当て書きですね。
久湊:当て書きっちゃ当て書きというか……僕は正直当て書きがあまり好きではないので、あまりそうしたくはないんだが……
江島:必然的にそうなっちゃうよね。
久湊: うん。書くのが遅すぎるせいで当て書きになっちゃうんです(笑)でも一応キャスティングの段階でプロットとおおまかなキャラクター設定はできているので、その設定に合う役者を探して交渉する、という感じですかね……はい。 江島: そうですね。といっても、あまり役者の役作りに脚本がひっぱられることはないですね。ふつう役者が役作りをするとき、設定を細かく作りこむやり方と、感覚的にというか柔軟に人物像を解釈してゆく方法の二通りがあるんですが、ミナトが書く脚本の場合は前者に近い。役者が(脚本に)合わせてゆくことを要求されるというか、そうしないと細部で矛盾がでてきちゃったりするというのはありますね。 久湊:うん。 |
SPECIAL INTERVIEW - Vol.2
次回はいよいよ最終回!
気になるテーマは『ガクブチの日常』……必読です!
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